契約は口約束でも成立しますが中古車の売買契約はかなり複雑で他の商品の契約にはない要素があります。しっかりとした取り決めをして必ず売買契約書を作りましょう。契約書を作成・発行しないようなルーズな販売店では購入しないほうが無難です。
車の売買契約書は通常、注文書と呼ばれていますが、それでは注文書の注意すべきポイントについて見てみましょう。
(中販連モデル注文書参照)
1.車名・グレード等
先に申し上げた通り、中古車は特定物ですので購入車両の特性(個体識別)・品質表示については漏れなくチェックをしておかないとトラブルの元です。
2.支払条件
支払い方法を明記してもらいましょう。支払い条件によって契約書の内容が変ってくるので、現金・立替払い・ローン提携のいずれかを明記します。
3.保証の有無、定期点検整備実施の有無
価格表示板の表示と同じ内容を明示してもらいましょう。
4.クレジット販売における手続き・修理などの開始時期について
立替払付販売・ローン提携販売の場合は信販会社からの承諾を得られる前に登録や修理・架装などを依頼するかどうかを取り決めておいたほうがいいでしょう。
5.納車予定日
販売店とよく話し合って受け渡しに双方がきちんと立ち会える日を選びましょう。納車遅れや納車時に購入者が立ち会わなかったために発生するトラブルは以外に多いのです。
6.特約事項
特約事項とは、販売店とお客様との間で、この売買契約について特別にこのようなことを約束しましょう、ということですから非常に大切なものです。
とくに契約の成立の時期や、申込金、手付金などの性格が定義されていますのでよく読んでください。
留意点1 契約の成立
中古車販売におけるトラブルの中で解約に関する件の比率は高いと言えます。そこで常に問題になるのは契約成立の時期です。民法では売買契約の成立について購入の申し込みに対して承諾すれば成立(諾成契約)としていますが,中古車の売買契約には登録制度が存在するため、実際の所有権の移転と登録上の移転との間にタイムラグが生じるなどの問題もあり、中販連のモデル注文書では「登録がなされた日もしくは注文者の依頼によって車両の修理、改造、架装などをする場合には、販売者がこれに着手した日、または車両の引き渡しが成された日のいずれか早い日を持って契約成立の日とします。なお、割賦販売、ローン提携販売または立替払付販売の場合は、これらの契約書に定められている日のいずれか早い日を持って契約成立の日とします。」としています。
しかしながら注文書に以上のような特約がなければ諾成契約ですから注文書作成時が契約成立の時期となってしまいます。注文書にサインをしたら原則的にはもう解約はできないと考えて慎重に行動しましょう。
留意点2 クレジット契約(立替払付販売)所有権留保販売について
クレジット会社はその債権保全のために販売車両の所有権を購入者が債務を完済するまで留保して、クレジット会社自身またはクレジット会社の指定した者の所有者名義にします(購入者は使用者名義人となる)。購入者は債務を完済するまでは売却などについて制約を受けます。クレジット会社の同意なしに売却することはできません。