Aさんは、販売店に依頼してオークションで希望の車を競り落としてもらいました。
ところが、Aさんはその後その車が気に入らなくなったのでキャンセルを申し出ました。販売店は、あらかじめAさんが差し出していた念書により15万円のキャンセル料を請求してきました(念書にはキャンセル料15万円と書かれています)。
[設問1]
このキャンセル料は支払わなくてはいけないのでしょうか。
キャンセル料を定めた念書が交わされているくらいですから、小売代金も定まっているのが通常であり、そうだとすれば、Aさんはキャンセル料を支払って契約を解除できることになります。
キャンセル料に関する念書の授受以外に、Aさんと販売店との間で契約締結行為と見るべきものがなかったときには、売買契約は成立していないことになりますが、この場合の念書によるキャンセル料支払いの約束は売買契約を締結しないで済ませることに対する違約金の支払いの性質を持つものと見るべきでしょう。
いずれにしても、Aさんは、販売店から請求された15万円のキャンセル料を支払わなくてはいけません。
<基礎知識>
-買主の依頼による落札と売買契約の成立-
買い主の依頼によって販売店がオークションで車を落札した場合でも、落札の事実だけで直ちに買主と販売店との間の売買契約が成立したと見ることはできません。この場合でも買主と販売店との間で何らかの契約締結行為(小売代金の確定)があって初めて契約が成立したと見るべきです。
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